125:チバQ
2011/10/17(月) 23:45:24便座を外した便槽で、おがくずの交換をする作業員=8月25日、黒岳
水浸しのおがくずはトイレの裏にどんどん積まれていった=8月25日、黒岳
■バイオトイレ 容量超過
■大雪山系黒岳 稼働8年 道が調査
手間いらずで、ごみも出ず、衛生的――。それが利点のバイオトイレ。だが、大雪山系黒岳(1984メートル)では利用者数が処理能力を上回り、稼働以来8年間、機能不全が続いている。所有する道は今年度、解決策を探るための実態調査に取り組んだ。
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■おがくず乾かず
黒岳のバイオトイレは標高1890メートル地点に4基ある。8月下旬、道上川総合振興局の職員ら8人がひしゃくで便槽 の中の水っぽいおがくずをすべて交換した。古いおがくず約890キロは袋詰めにしてトイレの裏へ。このような作業はトイレが利用される6~9月に毎年5回ほど実施する。
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バイオトイレはし尿の大半である水分を蒸発させる仕組みのため、通常はおがくずが乾いている。利用期間が1年のうち約3カ月に限られる山岳地だと、本来は1、2シーズンに1度の交換で済む。だが、黒岳はこのペースだと、おがくずが水浸しで、し尿を分解できない。シーズン中にトイレ裏にためられたおがくずは、約200万円かけてヘリコプターで下ろされる。
作業はトイレが本格稼働した2004年に始まった。トイレの1日の処理能力は1基50人で合わせて200人だが、最多で計820人が利用したためだ。
■利用予測を誤る
道によると、バイオトイレを置く前は1970年ごろに建てられたトイレがあ� ��た。新設にあたり古いトイレの利用状況を調べると、週末には1日500人の利用が予測されたが、平均すると1日最大200人分で足りると判断。それが見込み違いだった。
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最初の年の利用者は推定1万人に対し、2倍近い1万8275人。利用者は減少傾向にあるが、連休の混雑時は依然として1日に200人を超え、1日の最多利用者は2009年でも392人だった。黒岳はリフトが7合目まであり、山頂まで1時間余りと手軽に楽しめる。また、老朽化したトイレは使わなかった人が新しくなって使うようになったことが原因のようだ。
道は今年度、国の緊急雇用対策の予算を使って利用者500人を対象にアンケートをした。併せて業者に委託して、おがくずとトイレ内の温度を測った。
アンケートの目的は、大便と小便の割合を調べることだ。データに基づき大便と小便の貯留場所を分ければ、おがくずの水分過多は改善されると考える。
温度からはおがく ずの加熱状態を確認する。水分を蒸発させるには、おがくずを十分に温める必要がある。だが、電力を供給する風力発電機が最初の年に吹雪で壊れた。気象条件が厳しく、再稼働のめどは立っていない。電力不足も機能不全の一因とみられ、電力供給の代替策を検討する。
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調査結果は年末にまとまる。トイレの総工費は約4700万円かかった。山の上で場所も限られるため大幅な改造は難しいといい、道は「少しでもトイレへの負荷が減る対策を考えたい」と話している。
■「道だけでは対策に限界」
改善するにはどうすればよいのか。
黒岳のバイオトイレを製造した正和電工(旭川市)の橘井敏弘社長(64)は「容量を守るに限る」と話す。大便と小便を分ける場合、小便はおがくずに入れず、ためてどこかに捨てることになるという。「環境に配慮するというバイオトイレの考えから離れてしまう」と心配し、「人数に見合った容量のトイレに換えるのが一番だ」と話す。
「山のトイレを考 える会」(札幌市)の事務局長で北海道大学の愛甲哲也准教授(造園学)は「道だけで問題を抱えると対策に限界がある」と言う。「現地は国立公園。計画段階から関わった環境省、林野庁、地元関係者や登山者も加え、多用な観点から話し合う必要がある」と提案する。
(霜田紗苗)
《キーワード》 バイオトイレ 便槽に入れたおがくずを温めてスクリューで混ぜると、おがくず内の微生物が、し尿を二酸化炭素と水に分解する。水は蒸発し、わずかに残った無機成分はおがくずに吸着する。汚物をためないので悪臭が出ず、流すための水が要らないので山岳地をはじめ、災害時にも活用されている。道内の山岳地ではトムラウシ山、幌尻岳などにも設置されている。
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